立ち退き料とは
貸主の都合で立ち退く際に、明け渡しと共に借主へ支払われるお金を「立ち退き料」といいます。
立ち退き料が支払われるケースは様々ですが、最も代表的な例が、貸主の都合だけでは正当事由とは認められない場合に、立ち退いてもらう条件として立ち退き料を支払うというケースです。
つまり、立ち退きを求める事情=正当事由と認められない場合に、立ち退き料をプラスすることで、立ち退きを求める事情+立ち退き料=正当事由このように認められる場合があるのです。
立ち退き料の範囲
立ち退き料は次の4つの補償が含まれるとされています。
1.移転費用の補償
- 引越しにかかる費用
- 引越し先への敷金・礼金、保証金など
- 賃料が増加する場合は引越し前の賃料との差額など
立ち退き料が発生する場合、まずはこの移転費用をどこまで補償するかを決めることになります。
2.立ち退きによって失う利益の補償
- 物件の間取りや広さ、交通の便など、生活環境の悪化に対する補償。
- 店舗を構えて商売をしていた場合、移転による顧客減少など減収分に対する補償、営業再開までの休業補償、移転による諸経費に対する補償。
- リフォームなど、賃借物件へ支出した費用に対する補償。
3.立ち退きによって失う利用権の補償
今後も土地や建物を利用出来たはずが、立ち退きにより利用を中止することになった事に対する補償。
4.早期解決に対する補償
正当事由が明確な場合でも、強制的に立ち退かせるには裁判が必要です。
裁判には多額の費用と長い時間がかかりますので、面倒を避ける為にある程度の立ち退き料を払う場合があります。
立ち退きの際に上記のうちどこまでを補償するかは、それぞれの事情に個々の事案によって変わることになります。一般的には立ち退きの事情が正当事由に遠いほど、立ち退き料の範囲は広く(高額)なり、正当事由に近いほど立ち退き料の範囲は狭く(低額に)なります。
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